3/1(金)より公開中の映画「グリーンブック」。

本年度アカデミー賞「作品賞」、「助演男優賞」、「脚本賞」の3部門を受賞した作品。

 

あらすじ

時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー。カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。グリーンブック公式HPより

まず最初に主人公トニーを演じるヴィゴ・モーテンセンのおっさんぷりに驚いた。正直、「えー、ヴィゴ・モーテンセンってもっとかっこよくなかったっけー」と思いながら見てましたが、(だって私のイメージは未だにロード・オブ・ザ・リングのアラゴルン。)実際のトニー・リップに見た目を近づける為に体重を14キロ増量し、ガサツだけど憎めないトニーを演じているヴィゴ・モーテンセンはおっさんだけどやっぱりイケてる!!
ただまぁ品はなさすぎるし、小学生レベルの手紙しか書けない男・・・。そんなトニーが彼とは正反対の天才黒人ピアニストのドクター・シャーリーと一緒にコンサートツアーに出ることによって、自分自身もドクター・シャーリーも変えていくっていう典型的なストーリーではあるんだけど、これ実話なんですよ!!!

 

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製作・脚本のニック・ヴァレロンガは、今回の主人公である、ドクター・シャーリーと一緒にツアーにまわったトニー・リップの実の息子。父とドクター・シャーリーの友情を世の中の人たちに知ってほしいと書いた脚本なんだそう。

この時代の黒人ピアニストといったら、ジャズとかブルースのピアニストというイメージがあったけど(思い返せばそれも私の偏見)、ドクター・シャーリーはどちらかというとクラシック寄りのジャズやポップスを弾くピアニスト。言い換えると、ジャズともポップスとも言い難い、クラシックの雰囲気を感じるピアニスト。

彼のピアノは実は彼そのもののような気がする。ホワイトハウスで演奏したこともあるぐらいで、カーネギーホールの上層階に住んでいる天才ピアニストで知性と教養もあって品もある、“フライドチキンも食べたことがない”天才ピアニスト。

でも、知性も教養もなく職もない主人公トニーに比べたら、金持ちだし、地位も名誉も手に入れて幸せだと思えるようなドクター・シャーリーに孤独を感じ、更に演奏してくれと招待しておきながら物置のような控室、白人専用のトイレは使わせない、これから演奏するレストランで食事もできないと当たり前のように差別的な扱いをする演奏会の主催者達に観ていて呆れた。

 

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コンサートツアーを通して2人の間に友情が生まれるわけなんですが、最後にドクター・シャーリーが黒人専用のバーで「あんたピアニストなんだろ、なにか弾いてくれよ」(たぶんこんなセリフだったと思うけどうろ覚え)と言われて演奏する曲が、なんか切なくて。

彼が弾きたい音楽はこれなんだなと思って。

この時代に彼が生きていく為に弾く音楽と、彼が本当に弾きたかった音楽は違うんだなと思うと、黒人差別というものが南部でのあからさまな黒人差別だけではないものを感じて悲しかった。

自分が弾きたい音楽を弾くという当たり前のことが、この時代の黒人ピアニストには難しいことだったんだということが、“当たり前のこと”がどんなに素晴らしいものなのかを痛感した。

でもそのシーンの後に音楽を通してバーの客がひとつにつながっていくのもとても素敵なシーンだったと思う。

ドクター・シャーリーの知性と教養、品のよさは彼にとって音楽と同じぐらい彼を守る武器になっていたのかもなぁ。でもその武器は彼を守る盾であり殻でもあったはずなのに主人公のトニーとの友情が少しずつ彼を変えていく素晴らしい作品だった。

余談ですが、愛妻に気の利いた手紙を書く才能もないトニーに、ドクター・シャーリーが代わりにラブレターの文面を考えてあげるところ、そして最後のネタバラシがお気に入り。

「グリーンブック」は3/1(金)から ユナイテッド・シネマキャナルシティ13T・ジョイ博多、中洲大洋、ユナイテッド・シネマ福岡他にて上映中です。