原題は『Hidden Figures』というタイトルですが、Hidden=隠された、Figures=人たち、という意味で「隠された人たち」、つまり誰も知らなかった人々の話です。どんな人たちかと言うと、1960年代初頭にアメリカが有人宇宙飛行のために画策した「マーキュリー計画」、その実現に向けて裏方で多大な貢献をした黒人の女性数学者たちの話なんです。

 

コンピューターって言葉は元々compute=計算する人っていうのが語源なんですが、当時は実際の人間が複雑な計算をこなしていて、特に賃金の安い黒人の女性たちをこき使ってやらせてたんです。

宇宙に行った人や月面着陸した人は有名ですが、その影で航空宇宙学や航空工学などの難解な計算式を解読してたのは名の知れない女性たちなんですね。彼女たちの偉業がなければ、宇宙への道は開けてなかったと言っても過言ではないのです。

 

 

(c)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.All Rights Reserved

 

さて、映画の舞台となるウエスト・ヴァージニア州ってのはアメリカの南部地方でして、当時はまだ人種隔離法があって特に黒人の女性の社会進出に関しては大きな障壁のある時代でした。

なので、この映画の中では様々な差別が描かれています。先程も言ったように彼女たちはただの“計算機”としか見られてなかったので、トイレも別だったりコーヒー用のポッドまで黒人用と白人用に分けられていたんです。

ただ、当時はね冷戦真っ只中で、宇宙開発においてもアメリカとソ連はしのぎを削ってたんです。しかも、1957年にソ連が人類初の人工衛星打ち上げに成功したもんだから、アメリカとしては居ても立っても居られない、優秀な人材なら人種に限らず雇用せざるを得なかったんですね。

 

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さて、ここまでの話を聞いていると黒人差別を扱った重い話なんじゃないかって思われるかもしれませんが、違うんです!むちゃくちゃ元気になって、勇気をもらえて、全体を通してすごく明るい作風になっています。

とにかく主人公の3人の女性たちはくじけません!絶対にあきらめないし、下を向いてる暇はないんだっていう力強さを感じます。

それと音楽がいいですね。ノリノリになっちゃいます。当時の60年代のダンスミュージックかと思いきや、全曲ともファレル・ウィリアムスさんが60年代風にアレンジして新しく書き下ろししてるんです。彼は『怪盗グルー』シリーズの音楽も担当してますが、映画音楽のプロデューサーとしてもその才能を発揮してますよね。

 

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今作はアメリカでは2016年に公開されて大ヒットしました。その頃からハリウッドでは男女の収入格差の問題や、#Me tooを始めとするセクハラ反対運動が盛り上がりを見せるようになりました。強い女性像の象徴としてこの作品の存在意義ってとても大きなものだと思います。

そして、今作は老若男女問わずどんな人にでもオススメしたい作品です。あまり人種差別に対する意識が少ないこの日本に住む、特に子供達にも見せてあげたいなと強く願う作品です。

ぜひご鑑賞ください、見逃すのは勿体無いですよ!!