泣ける映画、爆笑した映画、手に汗握る映画
いろんなタイプの作品を人に勧めたくなりますが、その中でも一番相手に喜ばれるのって「騙される映画」だと思うんです。
そんな訳で、今回紹介する『女神の見えざる手』、僕もまんまと引っかかりました。
主人公は全米屈指の女性ロビイスト、勝率99%を誇る頭脳派キャリアウーマンです。
ここでまず簡単に“ ロビイスト ”について説明を。日本ではあまりピンとこないですよね。
【ロビー活動】特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動である。
まだ、よく分かんないですね。では、例えを挙げて説明します。
ロビー活動の活発な分野に製薬業界があります。ある薬を認可してもらうために企業がロビイストに依頼をします。そこでロビイストは政府や関連企業にその薬の有用性を説くために様々なキャンペーンを展開します。また、逆にその薬の認可に敵対する企業や市民団体に関してのマイナスイメージとなるような情報をリークし、反論をシャットアウトするんですね。
要はどうしても通したい法案や政策を、どんな汚い形を使ってでも認可させるように戦略を立てる団体。
そして、今作のヒロインは絶対に失敗しない、そう!どっかの外科医の女医さんみたいに頭のキレる女性です。笑

(C)2016 EUROPACORP-FRANCE 2 CINEMA
そんな主人公・大門未知、、あ、間違ったエリザベス・スローンを演じるのはジェシカ・チャステインさん。
彼女は劇中で強い女を演じることが多いですね。『ゼロ・ダーク・サーティ』ではオサマ・ビン・ラディンを殺害に追い詰めるCIAエージェントを、『オデッセイ』では火星に一人残されたマット・デイモンを連れ戻すため奮闘する艦長を。
日本では今年の5月に公開された『モリーズ・ゲーム』では、闇ポーカーの全米一の胴元にのし上がる実在の人物を華麗に演じました。
同じ世代のシャーリズ・セロンがアクションもこなす肉体派の強い女だとすると、ジェシカ・チャステインはどんな男も口で打ち負かす頭脳派の強い女と言えるでしょう。なので、僕はジェシカ姐さんとお呼びしております。

(C)2016 EUROPACORP-FRANCE 2 CINEMA
そんな無敵の主人公、元々は保守派のロビイストとして活躍していたにも関わらず、突然銃を規制する法案に興味を持ちます。
「バックグラウンド・チェック」と言って犯罪歴や精神疾患を確認しないと銃が買えないという法案を通すために、彼女は全てを投げ打って戦いを挑むことになるのです。
ただ、銃規制法案を認定させるのって相当難しいことなんです。
全米ライフル協会(NRA)というのがあって、この団体の影響力は国をも動かすと言われているのです。
実際にアメリカの選挙戦、NRAの支持を得ないと勝てないって言われるほどです。
あのオバマさんでさえ射撃のパフォーマンスをしてますもんね。
そんな強敵を相手に主人公はどんな戦い方を選ぶのか、、ぜひ映画をご覧になってください!

(C)2016 EUROPACORP-FRANCE 2 CINEMA
ロビイストとか、銃規制法案だとか、ちょっと聞き慣れないワードで
なんかお堅い映画なんじゃないのって思っちゃうでしょ?
それが意外や意外、説明も分かりやすいし、テンポも良くて
政治とか苦手だなって人も十分楽しめる娯楽作品に仕上がってます。
それと、特に女性の方はジェシカ・チャステイン演じる主人公のファッションに注目です!
サン・ローラン、ヴィクトリア・ベッカムなどトップブランドをふんだんに使って
自分を有能な人物に見立てるため、彼女にとってはファッションも戦略の一つなのかもしれませんね。

(C)2016 EUROPACORP-FRANCE 2 CINEMA
正直な話をすると、それほど話題にもなってなかったし、期待も程々だったのですが
いやはや、こんな傑作に出会っちゃうから映画ってやめられない!て思いましたね。
スリリングで大胆な心理戦をぜひご堪能ください!