このタイミングで今回の作品を紹介できる事は、とても光栄な事だと思います。
先日、発表になったばかりの第91回アカデミー賞ノミネーションにて最多の10部門にノミネートされたのです。
実は、この『ROMA/ローマ』はNetflix独占配信の作品で、日本では劇場公開の予定もありません。
なので、アカデミー賞のメイン部門にノミネートされるのか、該当作から外されるのではないかとも噂されていたので、正当な評価を得られて安堵の気持ちでいっぱいです。
実際にカンヌ映画祭ではネット配信作品への縛りがきつく、Netflix自体も映画祭から撤退の意向を示しています。
個人的には配信作品だろうが何だろうが優れた作品は評価されるべきだと思うし、今回のノミネートについては映画業界が商業主義から作家主義へと潮流を変える大きな一歩である気がします。
今作の監督、アルフォンソ・キュアロンはサンドラ・ブロックが宇宙に放り出されて悪戦苦闘する映画『ゼロ・グラビティ』で見事アカデミー監督賞を受賞しました。
『ゼロ・グラビティ』、『トゥモローワールド』などSF映画で世界的な大ヒットを飛ばしたキュアロン監督が、今作では打って変わって自らが生まれ育った1970年代のメキシコ、その当時の少年時代の思い出を映画化しました。
という訳で、タイトルの「ローマ」はイタリアのローマとは関係なく、メキシコの“コロニアローマ”という地区の名前に由来しています。
監督自身は白人で裕福な家庭の生まれなんだけど、幼少時に彼を育ててくれた乳母のようなお手伝いさんがいて、そのお手伝いさんに捧げるために作ったのが今作になります。
この作品を観る上で知っておいた方がいい情報としてまず、メキシコの人口のほぼ半数が白人なんです。
スペインの植民地だった時代もあるメキシコでは、当時スペイン人たちが大農場を作って先住民を小作人として働かせ搾取しました。だから、貧富の差が結構大きいんです。
この映画に出てくるお手伝いさん達は寝る間も惜しんで働いてて、逆に白人のお母さんは全く何もしない!笑
それと、ちょうどこの時代は日本でも学生運動が盛んな時期で、時を同じくしてメキシコでも反政府的な学生運動の気運が高まっていました。
それに対してメキシコ政府は、軍隊や警察だけではなくて貧しい若者達を集めて、食事を与える代わりに空手みたいな武術を教えて武力集団を組織するんですね。
そして、その武力集団を反政府団体にぶつけることとなり、、そういった歴史背景に関する説明がほとんど無いので知っているとより深く作品を楽しめると思います。
ま、堅苦しい話はこれくらいにしといて。
とにかく映像が美しいんです!!
白黒映画って敬遠してしまう気持ちも分かりますが、光の使い方が素晴らしくてウットリしてしまうくらい。
ALEXA 65という最高峰のカメラで撮影された甲斐もあって、まあ解像度が鮮明で全てのシーンが宝石のように輝いて見えます。
特に心打たれる1シーンがあって、本当に奇跡のようなショットだと思うんだけど、僕の中では一生忘れられない光景となりました。
映画好きの人って、年の暮れにその年のマイベストテンをチョイスしがちなんだけど、僕が昨年観た映画のNo. 1は今作『ROMA/ローマ』です!
映画館に行かなくても、ビデオ屋さん(これ死語かな笑)に行かなくても、今すぐ Netflixに加入すればスマホで鑑賞できます。
ま、できれば映像が綺麗な作品なので、PCもしくはテレビで視聴できる方は絶対そっちをオススメします。
もし、アカデミー賞を受賞すれば日本での劇場公開も期待できるかもなので、そちらの方も応援したいです。
今回、初めてNetflix作品を紹介することができたし、せっかくNetflixに加入された方には他の推薦作品も紹介したいと思うので、また機会があればレビュー書いていきたいと思います。
『ROMA/ローマ』、ぜひご覧になってください!!
Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中 です!!