2019年12月3日、DIORのメンズ・アーティスティック・ディレクターのキム・ジョーンズ(Kim Jones)が手掛けるMen Fall 2020 コレクションがマイアミで発表されました。


70年代のサーファーたちが愛したコーデュロイショーツを意識したシルクのショートパンツや、サイケデリックなプリントが施されたド派手なカシミアのセーター、ストレッチ性が高く軽量なストレッチパンツなどが目立ち、ユースカルチャーを醸しました。

1946年の創業以来、フランスを代表するクチュール メゾンとしてトップに君臨するDIORのコレクションとは思えないほどのラフさとポップさが印象的でした。

このラフでポップなDior Men Fall 2020 コレクションは、STÜSSY(ステューシー)創業者のショーン・ステューシー(Shawn Stussy)をフィーチャーしたものだったのです。世界中の話題をさらったビッグコラボとなりました。

STÜSSYがブランド創立40周年を迎えた2020年

STÜSSY


2019年、DIORとのコラボレーションを果たしたショーン・ステューシー率いる「STÜSSY(ステューシー)」が2020年、ブランド創立40周年を迎えました。

そして2020年10月30日、オンラインストアにて40周年を祝うアニバーサリーコレクションをリリース。

「International Stüssy Tribe 8-Ball Globe」のパッチをバックに、1980-2020と40の数字を袖に配置したトライブジャケットと、2020の文字と地球のグラフィックがプリントされたTシャツ、創立40周年を記念して「Stüssy 1980」と「Tribe 2020」の文字が刻まれたリングがラインナップしました。

ショーン・ステューシーがサーフボードにサインを書いた1979年

STÜSSY


ストリートウェアブランドの代名詞的存在である「STÜSSY」のロゴ。ショーン・ステューシーは、1979年に初めてそのロゴをドローイングしたと話しています。

ショーン・ステューシーは、カリフォルニアのラグナビーチで地元の仲間たちの為にサーフボードをシェープしていたボードシェイパーでありサーファーでした。

ハンドメイドのサーフボードに、ショーンは自身の名をサインしていました。かの有名な「Stüssy」のロゴの誕生です。

サーフィンと仲間を愛していた彼は、その「サイン」をプリントしたお揃いのTシャツを仲間達と着てサーフボードをプロモーションしていました。仲間とサーフィンのために作ったそのTシャツが、のちに爆発的人気アイテムとなったのです。

ストリートウェアブランドとしての「Stüssy」が見えてきた1980年

COURTESY OF STÜSSY


1980年代後半になると、STÜSSYはサーフィンとスケートボードという狭いコミュニティーの中で注目の的となりました。

ショーンはニューヨークとカリフォルニアにSTÜSSYの小さなショールームを開設。リスペクトするショップの人たちに自らのデザインを見せて回ったそうです。

そんな風に、自然発生的に、ストリートウェアブランド「STÜSSY」は誕生したのでした。

2020年を生きる私たちは、液晶越しに、容易にストリートカルチャーに触れることができます。自分のイデオロギーやアイデンティティを発信することもできる。D2Cブランドも加速度的に増加しています。誰もが自分のブランドをローンチすることが出来る時代です。

しかしSTÜSSYの発祥は1980年。モノもヒトもアナログな時代です。

ショーンはどのようにして自身のブランドの存在感を確立させたのでしょうか。

世界を仲間とする「International Stüssy Tribe」を創立した1987年

INTERNATIONAL STÜSSY TRIBE TOKYO CHAPTER – COURTESY OF ALEX TURNBULL


STÜSSYの核となったのは「International Stüssy Tribe」でした。

ショーンが創立した「International Stüssy Tribe」は、コミュニティのようなクルーのようなものでした。トライブは1987年にニューヨークを始めとして、東京、ロンドン、ベルリン、ロサンゼルスに拠点を設けていきます。ニューヨークのヒップホップ界からは敏腕A&Rのダンテ・ロスやスケーターのジェレミー・ヘンダーソン、東京からは同地のストリートウェアシーンを先導する藤原ヒロシも加入しました。

Shawn Stussy and Hiroshi Fujiwara


クラブで音楽を聴き入る時やパーティーで仲間と騒ぐ時、ストリートでスケートボードを走らせる時など、どんなシーンでも着用することのできるSTÜSSYの服。世界各地におけるそれら「全ての」シーンで、確かなネットワークで結ばれたトライブメンバーたちはSTÜSSYを着用しました。

そうしてSTÜSSYは世界へと拡散されていったのです。

INTERNATIONAL STÜSSY TRIBE LONDON CHAPTER – PHOTOGRAPHY BY MARK LEBON


ショーンは世界各国のトライブメンバーにあるものを贈っていました。

STÜSSYのコアアイテムとなったトライブジャケット(スタジャン)です。各メンバーに贈られたトライブジャケットのフロントにはブランドロゴと各メンバーの名前が入っており、加えて「Staff」の刺繍が施されていました。

PHOTOGRAPHY BY JB MONDINO


また、STÜSSYのアイテムには、当時若者たちの間でブームとなっていたカウンターカルチャーが隈なく反映されていました。

1970年代にニューヨークのダウンタウンで始まり、ロックやヒップホップ文化から派生・相互作用したと言われている「犯罪行為」グラフィティ(Stüssyのロゴはグラフィティに影響を受けている)や、2つのターンテーブルとミキシングコンソールでレコードを操作することを試みた1970年代のDJら生んだサンプリング(STÜSSYのふたつのSが絡み合ったモチーフはChanelのロゴから着想を得ている)といったカウンターカルチャーを迎え入れたショーンのアイテムたちが、世界中の若者を虜にしたのです。

キム・ジョーンズとショーン・ステューシーの接点となった1990年代

Kim Jones and Shawn Stussy


ショーン・ステューシーが「自分の居場所へのRESPECT」を具現化したSTÜSSYだからこそ、その温かさが人々を魅せ、世界を虜にすることが出来たのではないでしょうか。

因みに冒頭でお話したDIORのMen Fall 2020 コレクションにおいて、キム・ジョーンズはショーン・ステューシーを「RESPECT」と表現したそうです。

STÜSSYのファンだと語るキムは90年代、ロンドンのセレクトショップ、The Hideoutで働いました。このThe Hideoutを運営するGimme Fiveの創設者マイケル・コッペルマン(Michael Kopelman)はなんと「International Stussy Tribe」のオリジナルメンバーだったのです。キムもきっとマイケルに、International Stussy Tribeに、そしてSTÜSSYに惹かれた一人の若者だったのでしょう。

Stüssyとショーン・ステューシーの「RESPECT」溢れる40年間、そして未来

From left: the NYC crew, Messrs Jules Gayton, Mittleman, Ross, Kevin Williams and Jeremy Henderson, 1987; the London crew, Messrs Kopelman, Armitage, Turnbull, Lebon and Jones, 1989


自身を取り巻く人や場所、カルチャーを愛し、RESPECTしていた南カリフォルニアの若きサーファーだったショーン・ステューシー。

40年の時の中で彼はRESPECT「される」側の存在へと変身したようです。そして今もRESPECT「すること」をルーツにしているはずです。これから先もきっと、ずっと。

40周年おめでとうございます。RESPECTを込めて。Congratulations on 40th anniversary, with respect.

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