皆さんは「serendipity(セレンディピティ)」という言葉をご存知ですか?
セレンディピティとは「偶然に思いがけない幸運な発見をする能力,またはその能力を行使すること」。“贈り物のように幸運という名の偶然に出会う”という意味だなんて、素敵な言葉ですね。ということで今回は、医療分野におけるそんな“偶然”にまつわる話をしたいと思います。
皆さんにとっては、健康診断などでおなじみのX線(レントゲン)。
このレントゲン(X線)は、1895年11月8日、ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン(Wilhelm Conrad Röntgen)によって“偶然”、発見されたそうです。彼は、物理系の学者さんで、医療とはほぼ無関係でした。レントゲン(X線)という呼び名は、ヴィルヘルム・コンラート・レントゲンの名前からつけられました。“X線”の“X”は、未知の数字を表す“X”からきています。
※ちなみに11月8日はこの日にちなんでレントゲンの日なんですよ。
ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン(Wilhelm Conrad Röntgen、1845年3月27日 – 1923年2月10日)は、ドイツの物理学者。1895年にX線の発見を報告し、この功績により、1901年、第1回ノーベル物理学賞を受賞した。
X線は、今では色んな分野で利用され、医療現場だけでなく、私たちの暮らしの中に幅広く存在しています。(空港での手荷物検査などもX線が使われています。)
この世紀の大発見が、彼を第一回ノーベル物理学賞という名誉に導きました。
そして彼のその後の行動に驚きです!
なんとこの賞金を全額研究のために大学に寄付!
X線に関しての特許による個人的な利益も得ようとはしなかったそうです!(レントゲン博士は写真からもわかるように、イケメンだったんじゃないかと言われていますが、顔だけでなく中身もイケメンだったんですね!)
X線のように“偶然の産物“によって生まれたものは他にも数多くあるそうです。
例えば、電子レンジ、コカ・コーラ、チョコレートなどが挙げられます(これらも偶然の産物だったのか!)。
レントゲン博士は、X線を“偶然”発見して、人々を驚かせました。大きな功績も残しました。彼のこの偶然が、今日までに多くの人のためになっています。本当に彼は「セレンディピティ(偶然に思いがけない幸運な発見をする能力)」を持っていた男なのかもしれません。
ばったり誰かに会ったり、誰かとタイミングがかぶったり。“偶然”って面白いですよね。(余計な偶然もありますが。笑)
レントゲン博士のこの“偶然から生まれた世紀の発見”は、いかに特許を取得して、お金を稼ぐかといった発見となったかもしれません。でも彼は「エックス線は人類のものです。わたしは運よく発見しただけです」と言っただけで、特許も取らず、すこしも誇らしげな顔をしなかったそうです。
X線の発見は、目の前の研究に没頭し、物理学者として努力を惜しまなかった彼だからこそ呼び込んだ“セレンディピティ”だったのかもしれません。
僕も「セレンディピティ」という素敵な偶然を呼び込む力を持ってみたいと思いました。
オンラインブック せかい伝記図書館 巻末小伝「レントゲン」より引用
http://www.izumishobo.co.jp/onlinebook/c02_denki/99shoden/shoden12-6.html