2月21日公開 映画『スキャンダル』 Click to Tweet

 

【あらすじ】
2016年、アメリカニュース放送局で視聴率No.1を誇る「FOXニュース」に激震が走る。局から一方的にクビを言い渡されたベテランキャスターのグレッチェン・カールソンが、TV業界の帝王と崇められるCEOのロジャー・エイルズをセクシャルハラスメントで訴えたのだった。局内に残ったFOX売れっ子キャスターのメーガン・ケリー、メインキャスターの座を狙う貪欲な若手ケイラ、FOXニュースで働く3人の女性がそれぞれの嵐を起こそうとしていた・・・。

 

©Lions Gate Entertainment Inc.

 

実在のスキャンダルを描いた本作は、アカデミー賞3部門にノミネートされ(主演女優賞、助演女優賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞)、見事「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」でカズ・ヒロ氏が受賞し、二度目のオスカーを手にしたことは記憶に新しい。

そんな話題の映画だけど、この作品が素晴らしいのはこの事件を映画にしたことそのものにあると思う。実際に訴えられたロジャーが2017年に急死し、グレッチェンもFOXニュースと和解したことから突然幕を閉じ、世の中から忘れられてしまうはずだったこの事件を葬ってはならないと奮起した脚本家のチェールズ・ランドルフが、関係者への綿密な取材とタブーを掘り起こすリサーチを重ねてシナリオを書き上げる。

 

©Lions Gate Entertainment Inc.

 

このシナリオが、シャーリーズ・セロンの元に届けられ、「とてもパワフルで見事な脚本」に惚れ込んだ彼女が、存命かつ有名な実在の人物という難役に自ら挑むことを課し、セクハラ、パワハラ、トランプ政権の裏側など、まさに今社会を揺るがすトピックを映画化するという意義のあるプロジェクトを成し遂げたのだ。

TV業界で働く女性達を取り巻くセクハラ、パワハラは「嫌なら嫌だと言えばいい」では済まされない問題。“権力を持った上司が部下に性的関係を求め、拒絶すれば降格、解雇”という嘘みたいな話は実際にあったことなのだ。

ここまであからさまなセクハラ(会社の上司に性的関係を要求されること)を受けたことはない。でも私でさえ触られたりルックスがかわいい女子とのあからさまな差別発言を受けたりしたことはある。フリーペーパーの仕事をしている時に、一度クライアントから好意を持たれ、食事に誘われ、断ったら契約解除を要求されたことがあった。私の場合はその経緯を相談した編集長から「そのクライアントは切っていい、契約途中だけどキャンセルして」と守ってもらえた。ちなみにその編集長は女性だ。

知らない間に好意を持たれ、逆上して非常階段に追い詰められたこともある。その時相談した社長は「何かされたわけじゃないんでしょ」と守ってはくれなかった。

映画を観ながら、こんなことあったなと思い出し、なんだか涙が止まらなくて観てしまった。

 

©Lions Gate Entertainment Inc.

 

CEOを訴えたグレッチェンは過去にセクハラ受け、そしてFOXで番組を持ちたい野心家の若い女性ケイラは、今現在そのセクハラを受ける可能性がある環境にいる。グレッチェンとケリーは結婚して子どもたちがいて、2人とも娘を見つめるシーンがある。そこでこの映画が生まれた意味を理解したような気がした。自分たちが受けた嫌悪する出来事に声を上げ、行動に起こすことは、自分たちを守る為じゃない次の世代を守るためにやるべきことなんだと言われているような気がして、私はもっと声を上げられたんじゃないかとものすごく後悔した。

 

©Lions Gate Entertainment Inc.

 

私が働いた当時誰もが知るフリーペーパーに入社した時、「クライアントに店や会社以外の場所で打ち合わせをしたいと言われた場合、誰かと2人で必ず行くように。」と言われたことがある。たまに自宅で打ち合わせをと言ってくるクライアントがいたが、過去に襲われかけた社員がいたからだと説明された。社歴が長い同じチームの上司にも「エステの体験で寝てしまい、起きたら部屋の隅で男性オーナーが自慰行為をしていた。」と聞いたこともある。

嘘のような話だけど、私達はけっこう危険を伴う営業をしていたんだと知った。(もちろんそんなクライアントは一部であり、ちゃんと仕事相手として見てくれるクライアントがほとんどだったけど)

この話、たった15年ぐらい前の話だよ?

飲みの席でお酒が入れば触ってもいいと思っている男性や、「最後にやらなければ何をやってもセーフ」だと思っている男性の多さにも驚く。

最近でも「何かされたわけじゃないんでしょ。じゃあそんなに問題にすることではない。」と思っている男性の多さにびっくりする。

でもそれって、触られてもうまく交わしたり、声を上げなかった私達が教育してしまった世の中の男性達なのかもしれないと思ってしまった。

私たちが声を上げなければ、自分たちが受けたセクハラが次の世代まで引き継がれる。ただそれが相手が権力を持っていれば持っているほど、セクハラを受けた側のリスクが大きく、声を上げるには孤立する覚悟も必要だということも事実。

でも、この騒動の後「#MeToo」運動が世の中に広まり、女性たちが声を上げられるようになってきたんだと実感している。

この映画を観て、セクハラの話がピンとこない若い女性たちもいるらしい。

それこそが私たちが声を上げる意味でもあるし、この映画が生まれた意味があるんだと感じる。もっともっと、こんなセクハラ話がピンとこない時代になって欲しいなぁ。

ハリウッド至高の3大女優が放つ、衝撃の実話「スキャンダル」は、2月21日(金)よりユナイテッドシネマ・キャナルシティ13、Tジョイ博多、ほか全国ロードショー。是非映画館で!!

 

『スキャンダル』

■監督:ジェイ・ローチ 『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』

■脚本:チャールズ・ランドルフ 『マネー・ショート 華麗なる大逆転』

出演:シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー ジョン・リスゴー、アリソン・ジャネイ、コニー・ブリットン

 

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