妻であるベラとの出会いによって色彩あふれる人生と作風を手にしたマルク・シャガール。“女神”として崇拝する妻ガラを、自身の作品の多くに登場させた奇才サルバドール・ダリ。先妻の没後、2番目の妻アンナと共に人生を立て直し、人類に“音楽”という悦びを遺したヨハン・セバスティアン・バッハ。

“妻”という存在は、アーティストのインスピレーションとなり、生ける支柱となる。

グラフィックアーティストVERDYと明るい妻

2017年4月、日本に住むある夫婦がアメリカ・ロサンゼルスを訪ねた。

夫はグラフィックアーティストであり愛妻家。彼は旅を共にする妻のためにTシャツを製作した。ロサンゼルスを歩く夫婦はすれ違う人たちに尋ねられた。

初めてプレゼントした日。
The day VERDY gave his wife the first gift. @verdy on Instagram


「そのTシャツ、どこの?」

愛妻家のアーティストが妻のために製作したそのTシャツには「Girls Don’t Cry」という短いメッセージがプリントされていた。

@verdy on Instagram


普段から明るい妻が、なんだか元気がない日。

「泣かないで。いつものように明るくいて」

そう思った彼は妻にこのメッセージを贈った。「Girls Don’t Cry」という一言半句には彼のそういう思いが込められている。

グラフィックアーティストのVERDY(ヴェルディ)が手掛けるプロジェクト「Girls Don’t Cry」はこのようにして生まれた。

Girls Don’t CryとVERDYが輝ける理由

@verdy on Instagram: “Nike SB & @verdy showcase their first collaboration with the “Girls Don’t Cry”


生まれたというよりも“贈られた”という言葉の方が相応しいのかもしれない。

VERDYは全てのプロダクトを妻に向けて作っていると言う。妻が好きなものや、妻に贈りたいものを意識しているそうだ。

そして赤と白を基調とするデザインはもちろん、古代ローマの時代から愛情表現のシンボルとされている“ハート”に由来している。

@verdy on Instagram


VERDYが妻に贈ったメッセージ「Girls Don’t Cry」は、東京ストリートの象徴的存在、NIGOが手掛ける「HUMAN MADE®︎」や、俳優の松田翔太がアートディレクターを務めるピアスブランド「CAREERING」、1964年にフィル・ナイトにより創設されてから今もなおスニーカーカルチャーを先導し続ける「NIKE」などとのコラボレーションを矢継ぎ早に果たした。

そして瞬く間に現在のストリートシーンにおいて目星い存在となった。

@verdy on Instagram: UNDERCOVER x VERDY


サプライズなコラボレーションが目立つGirls Don’t Cryだが「妻が興味ないものとコラボレーションすることは今までもこれからもない」とVERDYは語る。

Girls Don’t CryとVERDYがスポットライトを浴びるその舞台裏には、いつも妻の笑顔があるのだ。

滑らかで軽い、でも確固たる愛

A visual taken in Los Angeles


2018年、VERDYは、1985年カリフォルニア・マリブにて誕生したジュエリーブランド「BILL WALL LEATHER(ビルウォールレザー)」とのコラボレーションアイテム、妻へのメッセージを刻印したハート型のシルバーリングを発表した。

5月3日にBEAMS T(ビームス T)原宿で、5月5日に大阪・中津のセレクトショップ、IMA:ZINE(イマジン)で、それぞれ1日のみオープンしたポップアップストアにて販売された。

このコラボリングももちろん妻のために製作した贈り物。

VERDYは、「シンプルで、いつも着けられるもの」という妻のリクエストに応え、彼女の指に馴染む滑らかな曲線と“重荷”にならない軽さを実現したリングを差し出した。

二度目のプロポーズとなった。

必要以上のものはいらない、必要なものはある

Photo: Cam Hicks


そして2020年11月。VERDYは「NEPENTHES(ネペンテス)」の清水慶三が手掛ける「NEEDLES(ニードルズ)」 と「Girls Don’t Cry」のコラボレーションアイテムを発表した。

今回VERDYがコラボレーションしたNEEDLES、そのブランドネームはダブルミーニングを持つ。

一つは“針”。

もう一つの意味は「need+less」=「必要以上のものはいらない」というブランドコンセプトだ。

Photo: Cam Hicks


なぜ今回、VERDYがNEEDLESをコラボレーションのパートナーとして選んだのか。

その所以は正式には発表されていないが「必要以上のものはいらない」というブランドコンセプトとVERDYが、いや、VERDY夫婦が共鳴したからではないかと私は思う。

VERDYが愛する妻を想って選ぶプレゼントとそこに添えられる、短くて僅かながらも優しさ溢れるメッセージ。そして彼女の笑顔。

2人にはきっと、必要以上のものはいらない。

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