X線写真(レントゲン写真とも言われています)は、何を写し出すのでしょう。
(なぜレントゲン写真と呼ばれるのか?https://iam-ashley.com/lifestyle/944/)
例えば、病院などで行われるX線検査や空港などで行われる手荷物検査。
これらはどちらもX線を使って写真を撮っています。
X線写真には、実際何が写っているのでしょうか。
今回はそんなX線写真についてのお話です。
早速ですが、下の写真をご覧ください。
何の写真かわかりますか?木の影ですね。
この写真は、X線写真との共通点がわかりやすく写し出されている写真です。
つまり、X線写真と非常に似ています。
(イメージしやすいように白黒の写真にしています。)
どういうことなのか、簡単に説明します。
2つの写真を並べて見てみましょう。
左が木の影、右がX線写真です。
木の影の写真は、(太陽の)「光」の影によって作られます。
X線写真は、「X線」の影によって作られているのです。
どちらも何かの影だということです。
つまり、X線は光の仲間で光と同じようなものとイメージするといいかもしれません。
(https://iam-ashley.com/lifestyle/446/)
光は目に見えません。同様にX線も目に見えません。
影絵と同じ原理で例えると
木の陰の写真は、影(=木の枝)は、光を全く通さなかったので黒くなり、それ以外の部分は、光を通したので白となってます。
一方、X線写真においては、何もない部分は、X線が通過しやすかったので、黒くなります。
骨の部分は、X線が通過しにくかったので、白くなっています。
白黒の違いが出る(影ができる)のは、光の通り具合によるということですね。
木の影は、光が通る割合が0%or 100%ではっきりしているので、枝がくっきり見えます。
X線写真は、光(X線)が通る割合が、体の部位、構造、臓器によって0%〜100%の間で変わってくるので、白と黒のグラデーションで表現されます。
光が通らない部分が影になるという写り方はどちらも一緒ということです。
(厳密には、X線は完全な光とは言い切れないので他の要素もあります。)
太陽の光は、その光をさえぎるモノがあれば通りません。
それが「影」になります。
それでは、X線が通るか通らないかは、何によって決まるのでしょうか。
それは、その物質の「密度」、「厚み」、「原子番号」によって決まります。
X線(≒光)の通りやすさは、「密度」と「厚み」によります。
厚くて中身がしっかり詰まっているものほどX線(≒光)が通りにくくなると考えるとイメージがしやすいのではないでしょうか。
では、もう1つの要素「原子番号」を見ていきましょう。
(中学生頃に習った原子番号、おぼえていますか?)、
https://kotobank.jp/word/原子番号-60624
原子番号が大きいものほどX線を通しにくくなるのです。
上のX線写真で白く写っているものは、人の体の中では、比較的X線を通しにくい“骨”です。
人の骨は、カルシウム(20)やリン(15)などで作られています。
(かっこ内の数字は原子番号です。)
人の体は主に、水素(1)、酸素(8)、炭素(6)、窒素(7)などで構成されています。
骨はこれらのものに比べて原子番号が大きいため、X線を通しにくい(白い影として写真に現れる)のです。
X線の検査などで
「ボタンやチャックがありますので、お着替えをお願いします。」
「下着のワイヤーやホックが写るので、お着替えをお願いします。」
などと言われるのは、プラスチックや金属が人の体を作っている組織より原子番号が大きいため、白い影として写り込んでしまうからです。(鉄の原子番号は26です。)
ちなみに、胃の検査で使用するバリウムは原子番号56です。
体の組織に比べて、明らかにX線を通しません。
バリウムを飲み胃の表面に付着させることで、普段は見えづらい胃の影がしっかり見えてきます。
(胃の検査で体を回したり、体勢を変えたりするのは、バリウムを胃全体につけているのです。)
人の影を見て、「〇〇くんかな!?〇〇さんかな!?」とわかるように
(影だけでわからないかもしれないことは置いといて・・・)
X線画像も、X線が体を通過した後の臓器の影で、臓器の状態が正常と比べて異常がないかを見ているのです。
そのため、X線画像を撮るためには正常な臓器の影は、どう写るのか、また異常があるときはどう写るのか、など様々な多くの知識が必要です。
「木の影とX線写真が似ている」という身近なものからのイメージから、X線写真の仕組みや見え方について簡単にお伝えしましたが、少しでもX線が身近なものに感じてもらえると嬉しいです。
野外で木の影を見かけたときは、“この影はX線写真の仕組みと同じなんだな〜”と
病院や検診でX線検査を受けたときは、”X線写真は影絵みたいなものなんだな〜”と思い出してくださいね(^^)